教材選びは出版社比較から ~ ドイツ語版4選

最近プライベートレッスンのお問い合わせをいただくことが多く、自分の蔵書の中から昔の教科書を引っ張りだして最近出版された教科書と見比べていました。並行して、日本に帰国される知人に本を持ち帰っていただいたり、筆者の夫君にドイツ出張のついでに問題集を持ち帰ってもらうこともありましたね。また本が増えてしまう・・・
というわけで近頃なんとなく本に触れる機会が増えたので、一度やってみたかった出版社の比較をしてみたいと思います。

以下、ドイツ語学習者のための教科書を出版している代表的な4社をご紹介します。

Hueber

ドイツ語の教科書といえば Hueber、Hueberといえばドイツ語の教科書。まさにキング・オブ・キングを称するのにふさわしい出版社、ドイツ語圏でDaF (Deutsch als Fremdsprache : 外国人のためのドイツ語 ) の教材といえば Hueber 社です!
有名な教科書シリーズとして、筆者もレッスンでここ3~4年愛用している『 Menschen 』シリーズ、語学学校で採用実績の多い『 Schritte 』シリーズなど、ある程度の規模の書店には必ず置いてあるようなメジャー級教科書を出版しています。
最近はバシバシ新シリーズの教科書を出版しているようですので、こちらも要チェックです。筆者がドイツに住んでいる頃は「 Hueber の教科書って中身が古臭くていまいちだわ 」と正直思っていました。しかしながら、ここ10年で表装のデザインなどを刷新して、内容も現代的に大きく変化を遂げています。

Hueber・公式ホームページ

Klett

こちらはドイツ語圏では Hueber と肩を並べる語学系書籍の出版社になります。これは筆者が感じていることなのですが、初学者~B1の授業で Klett の教科書を使っていた先生は少なかったような・・・・・一方、B1以上のレベルに進むと俄然 Klett の教科書を使う先生が多かったように記憶しています。
筆者が実際に使用したことがある初級用教科書の有名なシリーズは『 Berliner Platz 』ですかね。中級・上級用シリーズでメジャーなものですと『 Aspekt neu 』シリーズ、比較的新しいものですと『 Mittelpunkt 』シリーズがあります。両シリーズともに相当のボリュームがある書籍に仕上がっています。
筆者は、教科書シリーズ=各レベルに対応した重要テーマや語彙を勉強するための本文法の本=文法知識を確認するための本 というように自身の頭の中では別のものとして考えていて、目的別に使用することをおすすめすることが多いです。そのように目的別に作られている本が多いのが実情でもあります。
Klett 社の、特に中級・上級用の教科書は、重要テーマの学習も進めながら、同時に文法の知識をしっかり固めることもできるような良書が多いように感じています。

Ernst Klett ・ 公式ホームページ

Schubert-Verlag

筆者も当ブログの中で時々 Schubert-Verlag の出版物を紹介していますが、他出版社が書籍化してくれないような、かゆいところに手が届く的な書籍を作ってくれているな、という印象を持っています。
すでに紹介した二大巨頭 Hueber・klett の教科書は、語学学校のグループワーク向けの練習問題が多数掲載されていて、大人数でワイワイ楽しく勉強するのに向いた教材です。はじめからそのような場面を想定して作られた教科書なのです。
一方、Schubert-Verlag の書籍は独学で勉強するときには本当に向いていると思います。どの国・地域のご出身の方でも、ワチャワチャと大人数で勉強するのが嫌いな人って一定数いると思います。そのような方は、静かな環境で黙々と勉強するときのお供として『 Begegnungen 』(初学者~B1⁺まで)・『 Erkundungen 』(B2以上)の各シリーズなどを使って高みを目指してみるのはいかがでしょうか?
また、同社の一部書籍は他出版社ではほとんど見られない上級・超上級対応(B2⁺/C1/C1⁺/C2オーバーなど、レベルもきちんと分類されている)になっています。自分の意志でご自身を律することができる優秀な学習者は、早めにこちらの書籍を購入して我が道を突き進んでいくことをおすすめします。

Schubert-Verlag・公式ホームページ

Cornelsen

この1~2年で問い合わせが多いのが、こちらの出版社の教材です。筆者は古い本ですがB1までの文法をまとめた教則本を持っていました。B1の試験を受ける際にサブテキストとして購入したものだったと記憶しています。DaF 用など語学系書籍を専門に作っている出版社ではなく、ドイツ語圏の学校用教科書全般を出版している会社です。
筆者はドイツ語を教える先生はCornelsen 社の書籍はあまり使っていない、と思っていました( 少なくとも私がドイツで生活していた当時は使用していた先生は一人もいなかったです )。近年は質の高い教科書シリーズを多数出版しているようで、筆者もひそかに注目しています。
代表的なシリーズは『 Studio 』・『 Panorama 』・『Prima』など、最新の教科書シリーズ『 Das Leben 』は情報量も非常に多く最新のメディアツールに対応、現代の社会情勢に即したドイツ語を紹介した注目シリーズです。

Cornelsen・公式ホームページ

マイナーな出版社から発行されている教材も多数ありますが、語学学校などに通われるとたいていの授業で Hueber / Klett 両社の教科書が使われています。
近年、電子書籍の普及や環境意識の高まりにより紙の教科書が割高になったように感じますが、外国人向けの教材類は購入時の付加価値税も抑えられていますし、教科書なしではドイツ語圏に移住してきた外国人は実質ドイツ語を勉強できないという事情もあり、政策的な観点からもコロナ禍以降のヨーロッパ諸国のインフレの影響をほとんど受けていない超レアな物品であると言っても過言ではないでしょう。

ご購入の際には、例えば図書館や書店で実物を手に取って中身を確認して、みなさんの用途と目的に合った1冊に出会えると理想的です。今後もみなさんに良い教材を紹介できるよう、研究・分析していきたいと考えています。