『 Nicos Weg 』 Niveau B1 ~ ついに感動の完結編

筆者は最近あまり視聴していませんでしたが、「ドイツ語が聞こえてこないんですよね(相手が話している文章を理解・把握できない、の意)」とか「会話を体系的に勉強できる教材を知りたい」などのご相談があると真っ先に紹介してしまうのが Deutsche Welle が製作した教材ビデオの『 Nicos Weg B1 』 です。
定番中の定番の教材ではあるのですが、映像と充実した内容を兼ね備えていて、かつ作品としても楽しめるコンテンツは探しても見つからないのでご了承ください。
「Nicoってスペイン人なのに、なんでこんなに最初からドイツ語が上手なの?」というツッコみは一切受け付けることができませんので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以下、『 Nicos Weg B1 』 を視聴する際のポイントをご紹介します。

語彙(ボキャブラリー)・表現はもちろん大事なのですが・・・

筆者はこのブログではドイツ語圏に移住予定・すでに移住していらっしゃる方に対してドイツ語の勉強方法の提案をしています。もちろん語学の学習に役立つ語彙・会話表現が『 Nicos Weg 』全編には散りばめられているのですが、これは筆者の個人的な感想でもあるのですが、処世術的・サバイバル技術的な側面が強くなっているのが今回ご紹介する B1 バージョンになります。

B1 まで勉強を進めていらっしゃった賢明なる当ブログの読者であれば、 B1 のレベルの教科書はすでに勉強を終えて「さあ、試験の準備しよう!」「仕事を探そう!!」など、志を高く持っていらっしゃることと推察いたします。しかしながら机の上の勉強と実践というのは表裏一体というか、どちらが欠けても成り立たない関係にあります。
ですので、『 Nicos Weg 』の B1 バージョンを視聴される際には、ぜひともご自身が使った教科書などを片手に「自分が勉強した単語や表現は、どのような場面でどのように使うのが最も適切なのか」を研究しながら視聴してください。

移住先の社会で守られるべき価値観・重要なルール・よくある風景とは?

ドイツ語学習とは直接関係のない話になってしまうかもしれませんが・・・
日本人にとっては、基本的には欧米の価値観および道徳観は理解可能なもの・許容できるものが多いと思います。外国人差別・フェミニズム界隈のテーマが、特に『 Nicos Weg 』の B1 ではところどころに顔を出しています。日本人としての常識や良識を考慮しても「そういうの、よくないよね」という内容も含まれていますし、作中に登場する呼吸をするように噓をつくおじいさんの謎な行動などは「それはアウトでしょ」とジャッジする方が圧倒的多数でしょう。
また、筆者が生活していたドイツの社会は時間厳守が原則ですので、そのような考え方は日本人にとっては腹落ちしやすいのではないでしょうか。

遅刻者続出でブチ切れする Lisa、ドイツでも時間は厳守しよう


一方で、ドイツ語圏の国々は日本と比較すると外国人が多く生活しており多文化社会的な側面を持ち合わせています。作中に登場する Selma のように(独身の女性が一人で外出するのは難しい)中東のシリアから戦禍を逃れたとて、ドイツでイスラム教のルールに従って生活しなければならないなど、日本ではあまり遭遇しないようなシーンも日常の中に存在します。
B1 を真剣に勉強する人は、少なくともドイツ社会になじむ努力をしている方だと思います。ですので、移住先の社会で守るべきルールや、そこで少数派として暮らす外国人についての知識があるほうが望ましいでしょう。
すでにある程度ドイツ語の勉強が進んで内容を理解できる人向けに製作された学習ビデオです。現地社会の現実を勉強するつもりで視聴されることをおすすめします。

移住するとぶつかる(かもしれない)困難の数々を、比較的隠さずに映像化

こちらもドイツ語とはダイレクトに関連する内容ではありませんが・・・
例えば、冒頭で「試験を受けて合格しないと仕事に就けないよ etc…」と Nico が言われてしまうシーンですが、これがドイツで生活する外国人の現実です。

アドバイザーに塩対応される Nico・語学試験は早めに受けておこう


また、借金を抱えた Nico のお兄さんが新規ビジネスをゴリゴリ売り込んだり、前出のモテ男を装うおじいさん、親に交際を全力でブロックされる Nico と Selma など、案外身近に潜んでいそうなクセが強めなトラブルメーカーにまつわる小話もストーリーに絡めてあり、様々な立場の人が鑑賞して楽しめるものに仕上がっています。
もちろん、みなさんは作中のドイツ語も楽しみながらご覧ください。

母国スペインでの学業を中断してドイツで自分探しに奔走している Nico と、内戦に突入した母国から難民としてドイツにやってきた Selma が結ばれるという、最終的には「宗教の違いを超える愛と、それを寛容に受け入れるドイツ社会」という理想的な価値観によって全てがまとめられて一連の動画シリーズは終了します。内容については賛否両論はあると思いますが(特にこの2~3年でドイツ国内の社会情勢が大きく変わってしまっていますので)、ドイツ語の映像教材としてはこの作品を超えるものはしばらく出てこないのではないかな、と個人的には考えております。

困難を乗り越えて(?)成就する、若い二人の愛

A1 ~ B1 を全て視聴すると5時間弱かかってしまう大作ではあります。しかしながら、それぞれの学習レベルに合わせたドイツ語を駆使してドイツでの生活の良いところ・悪いところを余すところなく紹介してくれています。特に仕事のための移住・留学・自分探しのワーホリなどを控えていらっしゃる方には必見の作品です。
1回・2回視聴したくらいで「あ~、最後までがんばったな!」とおっしゃらず、10回でも30回でも50回でも視聴しましょう!その価値は十分にある語学学習コンテンツです。