ニュースに触れてみよう(2)
先日『ニュースに触れてみよう(1)』の中で、日常生活でどのように現地のニュースに触れるのが理想的なのか解説をしました。
今回はニュースを視聴したり読んだりする際に意識すべきポイントについて解説をします。
あなたが興味のあるテーマは何でしょう?
人間というのは、興味のあるテーマ・自分が面白いと思うニュースについては「この記事は面白そうだから読んでみよう」「このニュースは是非理解しておきたい」というような流れで読んだり視聴したりと、簡単に次のアクションを起こします。筆者個人としては、一人間である以上このような傾向の下で行動・アクションを起こすのは非常に自然なことであると考えます。ですのでご自身の嗜好や好みを否定することなく、まずは自分がどんなテーマのニュースに興味があるのかじっくり考えてみましょう。
例えば、お子さんがいらっしゃる方であれば「教育」というテーマに関心を持つことは至極自然なことです。また、クラシック音楽が大好きな方であれば、芸術などに関するニュースは努力をしなくても簡単に関連した情報を集めることができるかもしれません。
日本語で知識を補充しましょう
レッスンでこの話をすると、人によっては「なんで?」「そんなことして意味あるの?」みたいな顔を露骨にされる方もいらっしゃいますが、外国語のニュースを視聴される際には同時進行で日本のニュースもチェックされることを強くお勧めします。
例えばドイツのニュースを視聴していると、しばしば「 die Koalition 」という単語が登場します。これは辞書的には「連立・連携・同盟」を指す単語ですが、実際にニュースの中でこの単語が登場する場面を考慮すると「連立与党」という意味になることがあります。「連立」という単語を聞いて(もしくは辞書で引いてみて)、日本の出来事を定期的にチェックしている方や日本語が母国語の話者であれば「ああ、これは政治の分野に関連する単語だな」と少なくとも推測ができます。
単語というのは使用するシチュエーションや使用する分野・領域を意味とセットで学習しなければ、決して正しく理解できないません。もし本当に外国語のニュースの内容を正しく把握したいのであれば、一見すると回り道のようですが、日本語の単語を正しく理解して日本語のニュースを定期的に確認することは思いのほか有益です。
日本語で知識を補充すると、思わぬ副産物がいろいろ
日本を離れて生活されている方でも、日本のニュースをチェックすることは昨今はそこまで難しくないように思います。
ごく最近ドイツ国内で大きく取り上げられた教育関連のニュースといえば、OECD加盟国で実施されている「PISA」(いわゆる国際学習到達度調査)の結果についての報道で、ドイツはこれまで実施された同調査で2023年は最も結果が悪かった、という内容のニュースです。日本の報道でも大きく取り上げられました。
賛否両論ある同調査ですが、今回ドイツの結果が悪かった原因としては「各家庭の経済状況や移民の背景を持つ家庭の教育格差の顕在化」などが挙げられていました。一方の日本では今回の調査結果は非常に良く、「コロナ禍で閉校などの措置はあったが、他の国のように状況が深刻ではなかった」などと報道されていました。
つまり、日本とドイツ・ドイツ語圏の違いを「PISA(国際学習到達度調査)の結果」について、非常に自然な流れで比較をすることになります。
そして、ひとつのテーマについて比較をすることにより更なる副産物が生まれます。それは深く考えるというアクションです。
ニュースを知るだけでなく、深い話のできる大人を目指そう!
深く考えて、例えば「なぜドイツと日本ではPISAの結果に違いが生じてしまったのか」の理由について、自分なりの見解や意見を相手に伝えることができたとします。そうすると「おっ、この人は自分の意見をちゃんとドイツ語で話すことができるんだ。しかも自分が知らないオリジナルな視点も入っているな!」と非常にポジティブに評価してもらえるようになります。
「深い話ができる」ということは、ご自身の頭の中でニュースのテーマに関する重要なポイントが整理できているということです。しかも、会話をする相手が期待しているのは日本人であるあなたのオリジナルな視点や見解だった、というのは海外での生活を経験したことがある方にとっては、ある種のあるあるでしょう。
比較したり深く考えることは、特にドイツ語の勉強を始めたばかりの人にとってはかなりの労力を要する作業です。だからこそドイツ語のニュースをじっくり視聴したり読んだりするのは、まずご自身の興味のあるテーマからチャレンジしてみるのがよいと思います。慣れてきたら、そのテーマに関連した日本のニュースを同時にチェックするように心掛けましょう。
日本語が母国語の人間は、無理をしてドイツ語で物事を考える必要はありません。まずは日本語の力を借りて頭の中を整理しておいて、会話をしている相手と深い話をしたり、自国のことを友人に説明したり、求められた時に批評したりする場面がやってくるのに備えておきましょう。
ドイツ語圏のニュースをきちんと理解するためにも、日本のニュースは定期的にチェックしましょう。そのような積み重ねがドイツ語を使った楽しいアウトプットの一助になると信じています。
