社会情勢の変化を考える

今年の9月末で日本に帰国して10年を迎える筆者です。日本国内外のニュースを日々チェックすることを趣味としている筆者ですが、特に2019年以降は社会の変化が著しいと感じています。
来たる6月9日(日)は多くのEU加盟国でヨーロッパ議会の投票日を迎えます。今回は少し趣向を変えて、今後のドイツの内政(国内政治)を社会情勢を踏まえて考察し、外国人としてヨーロッパ(特にドイツ)で生活する外国人にどのような影響があるのか、筆者の個人的な見解を紹介します。

※ 今回の記事は筆者が生活していたドイツ国内の事情を中心に書かれています。
今後、スイス・オーストリアなどについても機会があれば考察したいと思います。

変化の兆しは?

筆者が「なんか、この先世論や人々の意見が変わるのかも」と最初に感じたのは、2013年に AfD(ドイツのための選択肢)が結党したニュースを自宅のテレビで見たときでした。当時EU加盟国内で最も発言力を持っていたドイツ国内では、ギリシャなどの経済危機の際に救済措置を発動したことを契機に強烈な不満を抱く人々が AfD という政党を結成したのでした。要は「お金の管理ができない国(南欧の国々)を助けるのに、なんで自国のお金(ドイツの税金)を使うの?」とドイツ人の中にめちゃくちゃ怒っていた人々がいたということです。筆者は AfD の賛同者の考え方を完全否定はしませんので、お金を大事に使わない人・故意に怠ける人にお金を配るのはやっぱりイヤだなと感じてしまいます。当時はシリア内戦は始まってちょうど2年ほど経過した頃で難民が大量にドイツに流入したこともあり、その後は AfD は党勢を拡大していきます。
重要なのはここから先の話です。最初は眉唾物の政党として扱われていた AfD ですが、2024年現在、ドイツの連邦議会(日本の国会に相当する機関)で10分の1以上の議席を獲得しており、ドイツ東部・ザクセン州の州議会では25%以上の議席を持っています。
この話をすると「ふーん、そうなんですね」と「私には全く関係ない話でしょ」という感じでリアクションされる方が多いのですが、ドイツ人の中に「自分の国にただ乗りしてくる移民・難民がこれ以上増えると困る」という意見を持つ人が確実に増えているという事実は忘れないでください。

自分のことを過大評価していませんか?

ここで、ドイツだけでなく外国で生活している日本人の中で「私は日本人だし、移民でも難民でもない」と勘違いをしている人がいらっしゃることを指摘しておきます。国連人口部の定義によると「移民とは、外国生まれの人のこと全般を指す」とのことです。ということは外国(日本)からやってきたドイツで生活している日本人は、駐在員であっても留学生であっても、基本的にはみんな移民に該当するわけです。
「日本は他の外国とは違うから」とか「日本人はスペシャルな民族だ」みたいなことを言っているのは、日本の一部のテレビ番組やインターネットの世界の中の与太話です。ドイツ国内における外国人を管理・監督する官庁にとって日本人は他の外国人と変わらない、ということをぜひ心に留めておいてください。
査証(いわゆる滞在ビザ)の更新の際に「日本人は更新してもらいやすい」など、まことしやかな都市伝説が流布していますが、どこまで本当なのか・・・。そのような都市伝説を信じるくらいでしたら、ビザの更新に向けてドイツ語の資格試験(できるだけ上のレベルのもの)を取得できるよう勉強したり、適法な手続きを経たクリーンな査証を手に入れることができる職場に転職するなど、他のことに労力を割くべきでなのではないでしょうか。

外国人として異国で生活するということ

一時的にしかドイツに滞在しないのが明らかな駐在員や留学生はともかく、日本人であっても自らを移民として自覚することで、努力する方向が自ずと決まってくるのかな、と筆者は考えます。ドイツに移民として生活していたとしても、永住権を取得すれば査証の更新が必要なくなるなど、大きなメリットがあります。ドイツ国内であれば自由に転職して自分の好きな場所に住むことができるなど、ご自身が行使できる権利も格段に増えます。そのためには、やはりドイツ語の勉強を続けて試験を適宜受けたりして「この人なら外国人・移民であってもドイツに住み続けてもらいたい」と思わせるような外国人になる努力をする必要があることに、早い段階で気付くべきでしょう。
移民政策におけるビザ発行・更新というのは、ドイツ側が外国人を審査をするために存在するといっても過言ではありません。

筆者がドイツで生活していた2007~2014年のヨーロッパというのは、大きな国家間紛争や事件なども少ない比較的平穏な時期であり、平和なヨーロッパで暮らすことできたのかな、と振り返ることが多いです。
しかしながらこれからの10年先、20年先を考えるときには、ヨーロッパの移民政策は「外国人を誰でも受け入れるわけではないし、受け入れ条件も厳しくする」という意味で大きく方向転換するのではないか、と筆者は予測しています。現にそのように変質し始めているという事実を受け入れましょう。特にドイツに関しては現政権下(ショルツ首相:連立政権 SPD・緑の党・FDP)で外国人に対して比較的寛容な政策が取られていますが、2025年の連邦議会選挙で政権交代が起こった場合には寛容な対外国人政策が継続するかは不透明となる目算が高いのかな、と。
賢明な当ブログの読者と筆者が指導している生徒さんは、いつもこのような話を私から聞いていると思います。「残りたくば語学の勉強を続けよ」「その国に必要とされる人間になり、その国で果たすべき義務を果たす」という原理・原則に基づいて努力と研鑽を重ねた者だけが理想的な形でヨーロッパで生活し続けることができるのではないのかな、と考えております。

というわけで、今日もコツコツとドイツ語の勉強を続けましょう。筆者は勉強をがんばるみなさんの味方です。