『英語独習法』( 岩波新書:今井むつみ 著) ~ ドイツ語への視点を変えたアプローチ

約3年前の2020年の年末といえば世界はコロナ禍の真っ只中で、お仕事や学業のスタイルが大きく変わったり、場合によっては完全に休業して自宅に閉じこもることを余儀なくされた方も多かったのではないかと推察いたします。2020年の年の瀬、購読している新聞の書評に『英語独習法』という本が紹介されていたので、コロナ禍中に都内に出掛ける機会があった際に手に取ってパラパラと中身を確認すると・・・「おおっ、これは画期的な本だ!!」と感動して、すぐに購入を決めました。

グサッと心に刺さる金言が数多く掲載されている

なぜ『英語独習法』という「英語」という単語が入った書籍を、ドイツ語学習者のためのブログでわざわざ紹介するのか? 英語とドイツ語という違いはあるものの、外国語を習得するための効果的な勉強の仕方自体には、英語を選択してもドイツ語を選択しても、基本的には大きな違いがないからです。

「そのメソッドは、本当に効果的か」って、そんなこと本の冒頭で言われても。。。

外国語を勉強していると様々な疑問にぶつかります。同時に様々な勉強方法にも出会います。しかしながら、一般的に言われている「単語はたくさん覚えたほうがいい」という内容、なぜたくさん覚えたほうがいいのでしょうか? たくさん単語を覚えるとどのようなメリットがあるのでしょうか? この本を読めば、そのような素朴な疑問に対する答えを得ることができます。

例えば「たくさん読むことは大事です、とにかく多読しましょう」「たくさん聞けば英語のリスニングが上達します」と謳った英語教材の広告などが本当に理にかなった勉強方法なのか、あなたは立ち止まって考えたみたことはありますか? ちなみにこの本を読めば、そのような言説は科学的な知見から考えたときに適切な勉強方法ではない場合がある、との説明を見つけることができます。

読み進めていくと「Lesen」「Schreiben」「Hören」「Sprechen」の各能力を、日本人の場合はどのように勉強すれば克服できるのか、かなり詳細に具体例を交えながら説明してくれています。日本人が「この外国語の勉強方法は効果があるらしい」と誤解しがちなメソッドも、本書でやさしく一刀両断してくれているのもうれしいですね。

お読みになる際には本書中「英語」となっている箇所を「ドイツ語」と置き換えて読んでください。諸事情で独学しか勉強の手段がない方・長く勉強をしているけれど結果が出ない方・外国語の効果的な勉強方法を明確な根拠とともに知りたい人に特におすすめしたい1冊。初学者から超上級者まで、様々なレベルの学習者の心に響く内容がちりばめられた良書です。

『英語独習法』(岩波新書)

※ 今井むつみ氏の研究の内容にご興味のある方は、こちらもご参照ください。

慶応義塾大学 今井むつみ研究室