『 Der Struwwelpeter 』( Heinrich Hoffmann )~ ホフマン博士による超ブラックな絵本

今年のクリスマスはもう過ぎてしまいましたが、12月6日は「聖ニコラウスの日」、ドイツ語圏の子供たちが聖人ニコラウスからプレゼントをもらえる日でしたね。そんなフォークロアな物語をドイツで生活していた頃に通っていた語学学校の校長先生から教わりました。そのときに彼が紹介してくれたのが『 Der Struwwelpeter 』という本です。
校長先生は「ドイツのサンタクロースは、アメリカ人が作った偽物のサンタとは違うんだよ」ということを説明するために絵本の中の聖人ニコラウスの挿絵を見せたかっただけようですが、その絵本はドイツ語圏では知らない人はいないというくらい超有名な出版物でした。

一応、教育用の絵本らしい

お父さんが我が子のために1844年に自分のノートに物語と挿絵を書き、のちに出版されて版を重ねたといわれている絵本、どのように説明したらいいのでしょうか。10の小さな物語から構成された絵本なのですが、登場人物(子供)は行儀が悪かったり品位に欠けた行動をとり、すべてがバッドエンドで終わる衝撃のストーリー展開です。ホフマン先生が自ら筆を執ったとされる挿絵もなかなかシュールで、ブラック満載の内容になっております。

一年間、髪の毛と爪を伸ばしっぱなしのペーター少年が表紙 
( 筆者私物・最新版は表紙が少し違います )

日本語だと『もじゃもじゃペーター』というタイトルなのだそう。確かにペーターの頭はもじゃもじゃですね。ありがたい教訓があふれた一冊に仕上がっています。

楽しみかた、いろいろ

お子さんがいらっしゃる方は「こんなことしたらダメだよ~」と読み聞かせてあげるのもいいかもしれませんね。まあ、実際は読んであげたくなるような内容ではないかもしれませんが。
一方で、大人にとっても楽しみ方はいろいろです。

ホフマン氏がこの絵本を描いたのは1840年代、服装や生活習慣などは現代と異なるところも多いでしょう。日本ですと江戸時代があと20年くらいで終わるな、くらいの頃ですね。

マッチでひとり遊びしている少女の運命やいかに!?

ホフマン先生はご職業が精神科医で、フランクフルト在住だったそうです。当時の比較的大きな都市の上流階級やブルジョア階級の日常が垣間見えるのも、なかなか面白いのかなと思います。

庶民はきっとこんなテーブルで食事していないよね、とか

その当時の人々の価値観が現代社会を生きる私たちの価値観とどのように違うのか、どのような価値観は180年経た今日でも変わっていないのかなど、様々な視点から考察するのも面白そうですね。もちろん西洋と東洋の教育に対する考え方の違いを深く考えるのも、非常に意義のある作業になるでしょう。

校長先生が見せたかった聖ニコラウス、絵本ではクリスマスとはあまり関係のなさげなストーリーで登場

ちなみに筆者が持っている『 Der Struwwelpeter 』は、かの有名な大作家、マーク・トゥエインによる英語翻訳付きの版です。(マーク・トゥエインがドイツ滞在記などのエッセイをドイツ語で書いていることをご存じない方も多いのではないでしょうか。機会がありましたら、こちらもぜひ当ブログで紹介したいと思います。)
現地書店などで見かけましたらぜひ手に取ってみてくださいね!!

Der Struwwelpeter