試験に対応した作文を書くことができない方へ

今月の後半から telc B1 の作文の指導を頼まれたため、せっせと添削作業にいそしんでいる筆者です。みなさん、日本語・外国語のどちらでも構いませんが、文章を書いていますか? 2025年の現代社会で「ペンや鉛筆を使って書くことなんて日常生活ではないはずだ」と思っていらっしゃる方も多いと推察いたします。が、外国人が「書けない」と落とし穴がたくさんあります。今回は筆者が指導しているときに気付いた「作文を書けない人」のタイプ別対策をご紹介いたします。

メッセージアプリばかり使って生活している人

最近最もよくお見かけするのがこのタイプで、文章に特徴があります。自分の用件・要望や質問のみが ”ペシャ”っと投げつけられたような「普段からLINEしか使っていらっしゃらないんだろうな」と容易に想像がついてしまう文章です。このような文章を書く方は、もしかすると A1・A2 までしか合格が望めない、最も残念なタイプになります。
英語でもフランス語でもメールや手紙には型(パターン)があります。ドイツ語も同様で、まずは型を理解するところからスタートします。

例えば・・・

宛名 

相手の近況を伺う
↓ 
本題(自分が本当に書きたいこと)

相手に返信を促す

締めの言葉

のような感じですね。

試験に合格できる文章を書くためにも一度だまされたと思ってメールアカウントを作って、せめてメールでのやりとりを親しいご友人やお客様とできるようになるのが合格への近道かもしれません。

Chat GPT のような生成AIや翻訳アプリについつい頼ってしまう人

これについては私は当初はそこまで悪影響があるとは思っていなかったのですが「けっこう弊害があるな」と考えるに至りました。
初学者の生徒さんが教科書を勉強している際に、スマホのカメラ機能を使用する翻訳アプリを使って問題を解いていたのですが、「宿題を解くときに常時翻訳アプリを使うようになり、結局これまでの勉強が自分のものに全くなっていないことに気付いて悲しくなった」と懺悔していらっしゃいました。このような感じで勉強を続けていると、作文を自分の力で書けるようになる日は永久に来ないかもしれません。
また、翻訳アプリやメールの自動修正機能を使用しながら作文をしていると、自分の目でスペルの間違いや良い表現を見つける力がつきにくいです。きっとアプリに指示されたとおりに修正したり書き加えたりしているからなのでしょう。作文の中にスペルミスが異常に目立つ生徒さんもいらっしゃいます。
やはり自分の頭で考えた文章でないと自分のための勉強にならないのだな、と痛感した2つの出来事でもありました。多少面倒でも、特に試験を受けることを考えている方に関しては、勉強のスタート後の早い段階で現代的なツールを適切に使うテクニックを身に付けるべきでしょう。

日本語をそのままドイツ語にしてしまう人

こちらについては、日本語と欧米系の言語の文法の違いや考え方の違いに起因するのだと思います。
例えば「昨日事故が起こりました」という日本語をドイツ語にすると「Gestern gab es einen Unfall.」 と書くこともあります。状況やケースによっては『haben』を使っても上手に作文できるのかな、と思います。日本人的発想ですと「まずは『起こる/発生する』を辞書で探そう」となりがちなのですが、一見すると全く関係のない動詞で作文できてしまうのが欧米系の言語の面白いところでしょう。
このような文章も教科書にきちんと目を通せば至るところで使われているものの、ついつい日本語からダイレクトにドイツ語を作ろうとしてしまうのが我々日本人の弱点の1つなのかもしれませんね。
ご自身が受けたい試験の1つ・2つ下のレベルの教科書の文章・テキストを徹底的に研究することで、発想の転換やドイツ語としての適切な表現が見つかることも多いと思います。
「何となく書きづらい」と感じる方は、このような観点からドイツ語に改めてアプローチしてみてもいいかもしれません。

2023年は対話型AI元年と呼ばれていましたが、技術の進化で先進的なサービスが次々とリリースされて便利な世の中になりました。筆者も自然なドイツ語を書くために、またはドイツ語で調べものをするのに、対話型生成AIを積極的に触るようにしています。しかしながら、外国人の語学資格試験である telc や Goethe Zertifikat の作文は、驚くほど超アナログなスタイルでおこなわれます。試験中はデジタル機器の持ち込みはできないですし、もちろん辞書も使うことができません。ボールペン・万年筆で一発で書かせるような作文にも、場合によっては対応しなければなりません。
自分の生徒さんにはお話をすることが多いのですが、結局のところ試験で人間を選別するには、このようなやり方が最も効率的なのです。普段から意識して書くことに積極的に触れていないと、近い将来には便利なものに触れ過ぎている方は特に合格が難しくなるだろうと個人的には予想しています。
そのような現実に早い段階で気付き、かつ日常でデジタルに頼り過ぎずに生活できる方こそが、ドイツ語圏で未来を切り開けるのだろうな、と考えることが多いです。