こんな時代だからこそ、の読書
みなさんは本を読むのがお好きでしょうか? 筆者は読書が好きな部類の人間になると思います。若い頃は小説などを好んで読み、最近は仕事で使用する教科書類などを手にすることが多いです。近年は購入する書籍はドイツ語圏の教科書・実用書がほとんどなのですが・・・
読書というと「何となく億劫だな」などと思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、この激動の時代だからこそ大事なアクティビティだと筆者は考えます。
今回は当ブログの読者がどのように読書と向き合うべきか、私の考えをお伝えする記事となります!
本を読む意味と意義とは?
ドイツで生活していた頃、筆者の夫君は日本人という理由もあり、ドイツ語での読書を積極的に楽しもうとは全く考えていませんでした。また必要性も感じていませんでした。
ただ、滞在年数が5年を超えてきた頃に通っていた語学学校の先生がやたらドイツ語の小説を読ませたがる先生で「9月~12月の間にみんなで1冊小説を読みましょう!」という調子でしたので、毎回の授業で決められたページ数(15~20ページ)を読んでいました。これは宿題とは別に出される課題でしたので、読書が好きな筆者であっても相当辛い時間でした・・・同時に筆者自身が「自分が A-B-C のアルファベットで育った人間ではないのだな」と痛感した、非常に貴重な経験でもありました。
「大都市で生活するフリーターって、どこでもこんなイージーなのかしら」と思ってしまった『 Herr Lehmann 』、軽妙なスタイルの文章が印象的でした。

語学学校の授業の参加者は多国籍でしたので、毎回の授業の際に「私は〇〇〇だと思った」など、意見を交換するのが楽しかったですね。各人各様、感想も違いますし本を読んでいるときの着眼点も異なります。
映画・絵画・小説や物語には国境・言語・宗教を超えて人間同士の理解を深める大きな力があると気付いたのも、この先生の授業を受けているときだったと記憶しています。
時代を経ても、住むところが異なっていても、変わらない価値観や考え方って何でしょう?
読書の醍醐味は、時間や物理的な距離を超えて、本の中の登場人物の世界を追体験できることです。
さきほど「映画・絵画・小説や物語には国境・言語・宗教を超えて人間同士の理解を深める大きな力がある」と述べましたが、読書を通じて「数百年前の人間も現代に生きる人と同じように嫉妬するんだな」という事実や「ヨーロッパでも男性として生まれたら独特の生きづらさがあるんだ」という現実を理解することは、読書をしたご自身の人生を豊かにします。
第二次世界大戦前の大恐慌前夜のケルン在住の一女性を描いた作品。当時のケルンの一市民の日常生活を非常にリアルに描いています。明るい悲壮感のあふれる作品。

ドイツ人の作家の本、というと、例えば トーマス・マン や ヘルマン・ヘッセ のようなノーベル賞作家を連想する人が多いのですが、そのような高級で難しいものを選ばずとも、楽しい作品がたくさんあることを忘れないでいただきたいです。日本人でも川端康成や大江健三郎の作品を読んだことがある人は、そこまで多くないのではないでしょうか。
書店で気軽に本を手に取ってみることから始めてみましょう。新聞では書評が紹介されています。ドイツ語圏の現地の人がどのような本を読んでいるのかを知るのも、とても有意義ですね。
少しずつ文字に触れる量を増やしてみませんか?
筆者はここ2~3年、教科書や教材以外のドイツ語の本を読んでいなかったように感じたので、今年2月に知人にお願いして『 Der Krieg hat kein weibliches Gesicht ( 邦題:戦争は女の顔をしていない )』を手に入れました。ご存じの方も多いと思いますが、著者の Swetlana Alexijewitsch 氏はこの作品でノーベル文学賞を受賞しています。 日本ではロシアがウクライナに侵攻した頃にすでに漫画化されていて、原作が注目を浴びていました。
皮肉な話ですが、戦争のような忌まわしい出来事が人間に本を手に取るきっかけを与えることもあります。私の場合は日本の新聞の書評やメディアで紹介されたドイツ語の原作のある書籍・DaF の教科書などで扱ったドイツ語の本を実際に購入してみることが多いです。
まだ最初の数ページしか読んでいないけれど、夏が終わるまでに全部読めるといいな。Alexijewitsch 氏は現在ベルリン在住のジャーナリストです。

どのような本を手に取るのか、きっかけは人それぞれで構いませんし、その本は小説である必要もありません。当然最初の1冊を最後まで読む、というのは苦痛の伴う作業になります。そうであったとしても、みなさんの心の琴線に触れた本があればぜひ手に取ってみてチャレンジしてほしい、と切に願っています。
繰り返しますが、本を手に取るきっかけは人それぞれでいい、と筆者は考えています。新聞・雑誌・小説 etc. 文字を娯楽として楽しむためのツールはたくさんあります。つまりチャンスは至るところに転がっているのです。
混迷の時代を生き抜くためには、読書のような自己研鑽が最も大事になります。早めに文字に触れる機会を増やして読書をスタートさせて実りの多い豊かな人生を送りましょう。
